日記

2026年4月23日(木)『リサーチのはじめかた』を使う理由

鱧とトマトのスープ、じゃがパセリ。

ゼミで三回生に対して、『リサーチのはじめかた』をもとに興味や問いを明確化する演習を行っている。『リサーチのはじめかた』という本は、私の理解では、興味や問いを真っ向から言語化しようとするのではなく、それに関連するたくさんの情報を集めた上で、それを直感的に感じられた重要性に応じて仕分けてみることで、興味や問いを浮き彫りにしようとしている。研究テーマを決めるための数多くの本がある中で、私がこの本を選んでしまった背景にある想定がなんだったのか、ゼミ生とのやりとりを授業後に反芻する中でちょっとわかった。

「それは、みなさんが本当に興味や疑問を持っているものを、現時点で完璧に言語化できているはずはないだろう、という感覚です。すなわち、直感的には、みなさんそれぞれは具体的なことに対して「こういう話が面白い」とか「これはあまり意味がない」とか感じているはずなんですが、大抵の人間は、それを言葉でまとめる際に、見知った言葉で綺麗に丸めてしまいがちです。直感と言語化にギャップがある。みなさんは、これまでの大学での学びで、かなり言語化の訓練は積んでるはずですが(あるいはそれゆえに)、収まりのよい言葉にしてしまい、その直感が言葉において失われてしまいがち。

卒論などになれば、最終的にはある程度綺麗な言い方に整える必要はあるわけですが、この段階では一旦そういった整理はやめて、具体的な物事の選び方や評価に現れるより深い直感的な興味のほうを重視して、それを並べてみることで、そして互いにその原因となる興味を推測することで探ってみよう、というのがこのワークショップの趣旨になります。」

具体的な物事にかかわるような直感や実践があり、それに言語化が届いているはずがない、と想定するのは、それ自体けっこう人類学的な感覚でもある。